2018年 10月 28日
手をつなぐ |
透析に向かう途中
駅前のロータリーから改札までの通路で
ちょっと小太りの坊主頭の男の子と
おかっぱの女の子が肩を並べて歩いている。
男の子は白いシャツにグレーのパンツ
女の子は最近珍しいセーラー服、
ただし、クラシックなタイプでは無く
カラーの部分が鮮やかなブルーと白が印象的な今風の物。
よく見ると、しっかり手をつないでいる。
外見的には男の子は決してモテそうではない。
女の子もどちらかと言えば地味なタイプ。
お互い身の丈に合った相手を選んだと見る人もいるかもしれない。
妙にいちゃついている場合はその可能性が高い。
これは経験則だ。
そんなカップルは別れるのが早い。
これも経験則。
しかし、手はつないでいるが、すごく自然なのだ。
仲の良いベテラン夫婦が手をつないでいる様な雰囲気にも似ている。
多分高校生。
お互い信頼しているのが伝わる。
青春ドラマによくあるパターンで言うと
幼馴染みでお互いをよく知ってはいるし
心の底では信頼しているけれど
異性として意識していなかったのが
ひょんなことから意識してお付き合いが始まった…
そんなイメージ。
良い物見たな。
数日後の夕暮れ
都内と違って神奈川北部は外を歩くと暗い。
場所にもよるけれど、着ている服の色が辛うじてわかるかわからないか
そんな、シルエットだけの人影がポツリポツリ前を歩いている。
背の高いすらっとした男性が正面を向いたまま右手を後ろに伸ばす
リレーで後ろを見ずにバトンを受け取るあのポーズにも近い。
二、三歩後ろを歩いていた小柄な女性がちょっと早足になって
その手を握る。
これも勝手な予想だが
恋人同士では無く、ご夫婦だな…
表情が見えないだけに、動きや佇まいでそう思う。
あくまで直感的にだけれどね。
ラブラブの手のつなぎかたでは無い事
それから、二人の後ろ姿に現れている
つないだ瞬間、男性の背中からは安心感
女性からは幸福感が感じられた。
なかなか素敵な風景。
先日、叔母とランチをした。
亡き母の妹である。
身体の弱かった母の子育てや家事の負担を減らす為に
僕は小学生時代、春夏冬の長期の休みは長野の祖父の家で過ごす事が多かった。
その時僕の面倒を母親がわりに見てくれたのが叔母だった。
デパートの飲食フロアーの中華で
食事が出て来るまでの間
叔母が持って来たモノクロの写真で盛り上がった。
上田城の公園だと思う
ちょっと気取ってモデル立ちした若き可愛い叔母の隣に
叔母の手編みのベストを着た叔母の身長の半分位しか無い僕が
太陽が眩しかったのか、ちょっと眉間にシワを寄せて立っている。
しっかり手をつないで。
僕の好きな手のつなぎ方は
恋愛感情の表現では無く
信頼感や安心感を伝える物だって事がなんと無くだけれどわかった。
恋愛感情の表現として手をつなぐと言う行為を最近行っていない事の
負け惜しみでは決して無い。
by jintaro_jin
| 2018-10-28 00:36
| 日常